イベントに向けた改作いろいろ(5)-『ホバークラフト』
テキスト集では、発泡スチロールの容器の中に、小さい発泡スチロール容器を2重にしていました。これは空気の圧力を高めるためかと思われますが、今回は適当な容器が手に入らなかったので、試しに小さい方の容器を省略してみたところ、とくに問題がなさそうだったので、本番でも省略することにしました。1個ならばカップ麺を買ってきて、その容器を捨てずに使えば済むことですが、イベントではこの方法では数を揃えるのが大変です。科学館でも、リサイクル工作の場合には、地下のごみ集積所からペットボトルなどを拾ってくることもありました。家庭での工作と科学館やイベントでの工作は、このように事情が違います。逆に言えば、科学館やイベントでのテキストの通りに工作をしようと思うと、素材や部品の購入が難しいこともあります。科学館やイベントでは、大量の素材や部品を効率よく準備する必要があり、教材の卸から量をまとめて買うこともできるからです。
イベントでは、モーターはマブチモーターのFA-130を使用しましたが、単三乾電池2本では、やっと浮ぶ程度でした。バランスが悪かったり、容器の縁が平面的でなかったりすると、押しても滑るようには進みません。そこで、モーターをトルクの大きなミニ四駆用のアトミックチューンモーターに代え、電池を初期電圧が1.7Vと高いオキシライド電池に代えてみたところ、滑るように進んで、壁に当たると方向を変えるようになりました。なお、性能の向上を兼ねて、容器は発泡スチロールのドンブリから、浅めのプラスチックボウル(商品名:クックライトボウル、直径15cm、容量475ml)に変更しています。
プロペラもいろいろと試してみましたが、模型飛行機用のプロペラが最も強力でした。ただし、模型飛行機用のプロペラは15cmが最小なので、ホバークラフトでは両端を切断して10cm程度まで短くする必要があります。そのため、本来の性能は出ませんが、それでも風力用の9cmのプロペラよりは、はるかに強力です。
ホバークラフトの工作自体はそれほど難しくはありません。しかし、動作させると、本体が回転します。これはプロペラが回転することの反作用なのですが、子どもたちには、「浮き上がっている証拠だ」といって納得してもらいました。本体の回転を止めるためには、プロペラを2重反転式にする必要がありますが、一般に風力用のプロペラは左ネジになっていて、逆ネジのプロペラは市販されていません。また、同軸反転にするには特別な伝達系を作らなければならないという問題もあります。そこで、もっと簡単で本体全体が回転しないホバークラフトに挑戦してみました。
ホバークラフトのプロペラは左ネジなので、通常はモーターを逆接続にし、左回転させて空気を前方に送るようにします。プロペラは下向きに取り付けるので、下向きの気流によって全体が浮き上がることになります。さて、同じプロペラを逆回転させたらどうなるでしょうか。空気を吸い込むのだから、容器が地面に吸い付くような気がしますが、そうはなりません。逆に、浮き上がるのです。それは、やってみると分かります。なぜ浮き上がるかというと、確かに気流は上向きなのですが、気流は容器に当たって下向きに反転します。その気流で全体が浮き上がることになります。部分的には上向きと下向きの気流が混在するのでしょうが、トータルでは下向きの気流が勝るようです。一説には、容器の形状やプロペラの取り付け高さなどによっては、下向きの気流でも中央部に上向きの気流が生じて、浮き上がらないこともあるそうです。その場合は、遮断のための整流板を入れる必要があります。
イベントの後で、プロペラの正転と逆転を組み合わせて反作用を打ち消した、ダブルのホバークラフトを試作してみました。ホバークラフトを2個用意して、一方は正転、他方は逆転とし、2個を板で接続しただけですが、一応、バランスを考えて、電池を共用にしたうえ、正転側の容器だけに載せてみました。大きな角型のトレー1個にモーターを正転・逆転の2個搭載したモデルでも試してみましたが、気流の吹き出しが不均一になるためか、あまり具合が良くありません。容器の形状は円形の方が良いようです。
*[ホバークラフト]改作テキスト「aircar.pdf」をダウンロード
