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2008年7月12日 (土)

また!平板ブーメラン(1)

 2月に掲載した「平板ブーメラン(1)~(5)」の続編ですが、スマートになって再登場です。
Boo 
 前回のシミュレーションでは、「平板ブーメラン」の旋回飛行を計算するのが主目的だったので、2次元的な運動方程式による簡易な解法にしてありました。運動方程式は、一応、3次元で解いていましたが、上下方向は旋回に伴う落下だけを想定していました。落下とともにブーメランの面が徐々に水平に近づくと考えて、傾き角が移動距離によって減少するという関係式を仮定し、迎え角は傾き角から計算で算出する方法でした。

 それでも、「平板ブーメラン」が旋回して戻る軌道の計算は可能で、一般の(軽い)ブーメランを想定して、翼にひねりを入れた「フラップ付きブーメラン」での実験式を取り入れて、比較計算を行っています。その結果は、「フラップ付きブーメラン」では、「フラップなしの平板ブーメランと比較して、旋回範囲がより小さくなり、落下距離も小さくなっているが、旋回飛行の傾向が大きく変わることはないことから、フラップの有無、すなわち翼自体の迎え角の有無で旋回飛行のメカニズムが異なるものではない。」というものでした。また、ブーメランを宇宙ステーションで飛ばしたらどうなるかというシミュレーションも、重力加速度を0にして行ってみました。計算では、「平板ブーメラン」の場合は旋回せずに直進し、「フラップ付きブーメラン」の場合は、らせん状に旋回する、という結果になりました。簡易な解法でも、無重力であってもブーメランは旋回する、という予測ができたわけです。

 一方、課題として、例えば、ブーメランを高いところから傾けて落下すると、スロープを描いて降下し、同時に回転軸が立ち上がっていくような軌道とか、ブーメランを水平に投げると、上昇した後、突然、反転して戻ってくるような軌道とかは、計算できないという限界を指摘しました。このような課題を解決するためには、揚力が起こす平板翼のトルクを扱う必要があるほか、きちんと3次元的に運動方程式を解く必要があります。

 今回のシミュレーションの改良では、この、「ブーメランを高いところから傾けて落下すると、スロープを描いて軸が立ち上がるような軌道」と、「ブーメランを水平に投げると、上昇した後、突然、反転して戻ってくるような軌道」の計算ができることを目標としました。その過程では、従来は重視していなかった、高迎え角、例えば90度に近い迎え角での揚力係数や抗力係数についても実験式を拡張しました。このシミュレーション法では、航空力学の手法を取り入れています。一般の航空力学では、迎え角が20度を超えると翼の揚力が急減して、失速するので、高角度の迎え角は扱われない領域ですが、ブーメランでは、最終的に迎え角が90度に近づくので、どうしても考えておかなければならない領域です。もっとも、迎え角90度では揚力としては現れず、すべて抗力として扱うことになります。

 また、揚力係数や抗力係数を求めるために、ブーメランの自転落下実験を考案しましたが、今回の追加実験の中では、面白い現象にも気付きました。ブーメランを側面からではなく、正面から観測すると、ブーメランが水平方向にわずかに移動することが分かりました。自転によって進行方向が曲がる現象は「マグヌス効果」として知られており、野球のボールやゴルフボールの軌道の曲がりなどはそれで説明できますが、このブーメランの曲がり方は、「マグヌス効果」とは違って自転とは逆方向になっています。この解釈についても、後で述べたいと思います。

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